2025年大阪・関西万博が開催される夢洲は大阪湾の埋立地。フィリピンパビリオンの施工にあたっては地理的な制限がありました。

万博会場・夢洲へのアクセス

工事期間中、夢洲へのアクセスは、舞洲からの橋(夢舞大橋)を渡るか、咲洲からのトンネル(夢咲トンネル)を通るかの2ルートしかありませんでした*。(2024年12月時点)

そのため渋滞などで混乱が起こらないように工事関係進入車両は事前に申請が必要です。基本的な計画は1か月前に提出する必要があります。
また関係者以外の立入りを防ぐため顔認証システムも導入されています。

*現在はOsaka Metro中央線が咲洲のコスモスクエア駅から夢洲に延伸(北港テクノポート線)。
そのほか万博会期中の来場にはパークアンドライドなどの方法があります。
大阪・関西万博会場となる夢洲周辺略図

現場から離れた事務所
通常、工事現場の周辺に事務所を構えるのが一般的です。敷地に余裕があれば現場敷地内に仮設ハウスを設置するか、余裕がなければ周辺のテナントを借りたり、近くの空き地を借りて仮設ハウスを設置したりします。

しかし第3回で紹介したように、フィリピンパビリオン敷地内は余裕がなく、また周辺は他パビリオンやランドスケープ工事が行われているため事務所を設置できるスペースがありませんでした。

そのため、メインの現場事務所は夢洲のとなり、咲洲にある西尾レントオール様の施設の一画をお借りしています。(以下、咲洲事務所)

咲洲事務所から現場まではルート規制もあり迂回が必要なため、約15分かかります。

万博工事現場までの通勤

夢洲で建設工事に携わる方々は、基本的に咲洲の大阪メトロ中央線 コスモスクエア駅から夢洲への万博工事輸送バスでの通勤となります。

しかし淺川組の施工チーム、作業員さんは、最大10人乗りの車両を用意しており、乗り合わせて夢洲まで通勤しています。
多くの人が通勤に利用するバスは混雑していることもあり、少しでも作業員の負担を減らすためにこの方法を取っています。

朝、咲洲事務所に集合してから、朝礼を実施。工事現場進入許可取得済みの車両で夢洲の工事現場まで向かいます。

現場と離れた夢洲事務所との連携

全体を統括する所長の泉さんは咲洲事務所にいることが多く、夢洲の工事現場では八木さんが中心となって工事を進めています。
「所長がつねに現場で目を光らせられる状況ではないため、認識違いでの作業のやり直し、不安全な行動での事故がないように、いつも以上に隅々まで目を配り、安全や品質管理を行っています」と八木さんは語ります。

着工当初は通信環境も良くなく、所長に確認や報告の電話をしても音声がブツブツと途切れ聞こえにくい状態だったとのこと。そんなとき淺川組で導入しているTeams*のチャット機能が所長とのスムーズなやりとりに非常に役に立ったと言います。

*Teamsとは
チームズ。Microsoft社が提供するチャットやオンライン会議、ファイル共有などができるコミュニケーションプラットフォーム。

最後に

さまざまな制限のなかでも、作業員さんに最良のパフォーマンスを発揮してもらうため、また離れていてもコミュニケーションを上手く取り、連携するための工夫を凝らしながら施工をしています。
淺川組施工チームの奥野さんは、「工事の進捗に合わせて車両導線も次々に変わっていきます。またいくつもの建造物が同時期にひしめき合っての工事となるので、ルールが徹底されており、日々自分がしっかりと理解し、作業員さんにわかりやすく説明できるようにすることを心がけています。」と話します。

施工業者同士や協力業者との連携が鍵となる大阪・関西万博工事。次回はフィリピンパビリオンプロジェクトにおいて、お客様や設計事務所様と、淺川組のスムーズな連携のための橋渡しをしているプロフェッショナル、営業担当者へのインタビューです!


「自然、文化、共同体― よりよい未来をともに織りなす」をテーマに、豊かな伝統、多様な自然、創造性を表現した「EXPO 2025 大阪・関西万博 フィリピンパビリオン」の詳細は、下記よりご覧いただけます。